11月7日

節目のようなものを感じる一日だった。人のやさしさが齢をとるという事実を、私は中学生の時にくるりの曲で初めて知った。大人になるにつれて「ああ、あの歌詞はこういうことだったのか」などと、私の一方的な思い込みかもしれないが、そういう瞬間を目にする機会が何度かあった。そして、その感情の経年を直視したくないからと自分が逃げ出してしまったこともあったし、反対に逃げ出していく人を見て「そう」と思ったこともある。なんだか失恋でもしたかのような書き出したが、してない。あと、なにも恋愛にとどまる話ではないと思う。

比較的、昔と比べるとさっさと忘れたり呆れたりしてしまう人間に育ったので、今となってはちゃんと思い出せない出来事がうんと増えた。曲も作ったあとは忘れてしまうほうなので歌詞が覚えられず困ることがしょっちゅうある。日記だって、昨日なに書いたか思い出せないし。そうかと思えば何十年も引き摺ったりする思い出なんかは携えていたりもするのでたちが悪いなとは自分でも思うが、私だって都合のいい人間なんだから仕方がない。

日記本の作業を進めた。これを終えたらアルバムを仕上げる。昨日書いた日記の内容は思い出せないが、先月末に会った友人が鍋つゆの話を熱心に語っていたのを思い出したのでメッセージで聞いてみたが、いまのところ返信はない。

寝る前にくるりのいちばん好きなアルバムを聴いた。中学生のとき、何度再生したかわからない。迷路みたいな。